3-dimensional art forms, ranging from traditional sculptures, pottery, paper, and festival arts, to modern land (earthwork), installation, and kinetic art
Image: Camille Claudel's 'The Wave' (1897) "Influenced by Japanese art, similar in colour and form to Hokusai’s famous woodblock print, The Wave is a decorative work that gives priority to light and heralds Claudel’s later series – her Chimney-pieces (Deep Thought, Fireside Dream) – in which the combinations of materials play such a fundamental role." ---Musée Rodin official website 2023/7/29
Concerning Rodin's japonisme, see Rodin et l'Extreme Orient by Claudie Judrin and Monique Laurent, with Madeleine David (Paris: Musee Rodin, 1979).
Uploaded 2023/04/07 (originally on the Museum Collection page)
Based on exhibit commentary on Louise Nevelson, created 2021/7/6
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ルイーズ・ネヴェルソン
現代彫刻におけるジャポニスム
ルイーズ・ネヴェルソン (1899-1988) は、20世紀後半の造形芸術を代表するアメリカの彫刻家である。
日常品の家電や運搬用カートン木箱などといった廃棄物を分解し、さらに細かく刻み作品の構成素材とした。切り落とした木箱の端を枠に、それらの破片をはめ込んで全体を黒く塗り潰す。そうした箱を複数作り、これを積み上げ、または横に並べて組み合わせる、というアサンブラージュ作品の先駆的な彫刻家として知られている。
ネヴェルソン本人によると、芸術家としての道を本格的に歩み出す大きなきっかけの一つが日本文化との出会いである。30歳頃にマンハッタンのメトロポリタン美術館の展覧会で能楽衣装と出会ったその時であったという。彼女は能楽衣装の美しさに感銘を受け、何度もそれを見に行き、これが芸術を追究する大きな刺激となったと言い残している。それは、具体的な造作の模範となるものというよりも、自分なりの芸術様式を生み出すインスピレーションのようなものであった。
しかし具体的な意味でも、ネヴェルソンの作品には、日本の伝統工芸ないし伝統建築の諸形体と類似する点は少なくない。漆黒の重箱や、文具の詰めた文箱、茶室の一隅、組子障子、和紙の押し加工などと、似通う発想が多く見受けられる。また、日本的な美学や禅思想を意識していたと示唆される作品もある。例の一つとして、ネヴェルソンは彼女の1958年の展覧会「Moon Garden Plus One(月のガーデンに一つ足す)」で、最先端の環境芸術家として名をあげたが、この暗い部屋の中に観客を取り込むようにした設置コンセプトは、日本風な美学的認識、特に谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』の美意識を思わせる側面もあるといえよう。
そして翌々年の1960年に、ネヴェルソンは再びインスピレーションを求めて能楽衣装を見に行ったのである。作家としての生涯を通して、最後まで彼女の作風に日本的要素があったように思えるのは、制作活動晩年の1979年にマンハッタンで開かれた、彼女の作品で飾られた広場「ルイーズ・ネヴェルソン・プラザ」の一つの作品群として製作されたその彼女の発想にある。それは漆黒を使用した、コンセプトとしては幾つもの縁起物がはみ出す、大小様々なお正月の羽子板飾りが並ぶ歳の市や酉の市の縁起熊手のようにも、もしくはいわゆるお祭りの「ハレ」に掲げて並ぶ「ほろ」(滋賀県多賀町)といった各地にある「竿かざり」や「背負いもの」などのような、あからさまではないが紛れもなくどこか和の形態的性質を持つ作品が立ち並ぶからである。
ルイーズ・ネヴェルソン・プラザと日本のお祭り意匠 (Photos from Google Map and the National Museum of Ethnology, Osaka)
そもそも、日本には古くから不用品や削りくず、紙くずなどを民芸品の造作に利用したり一種の芸術作品としてのアサンブラージュ的発想があったのである。例えば、張子など民芸の制作でのくずの再利用は長い歴史を持つ。また、高く積み上げた酒樽を展示した「一酒百駄(200樽)」や、お祭りに木の枠で何段にも提灯を飾る、といった「積み上げの芸術」は神社に限らず日本の伝統的な風習の一つとして江戸・明治時代の版画にも描かれていた。そうしたものが日本にあったお陰でもあったのか、無意識にそれを取り入れたのか、20世紀初頭に日本で「マルヴォ」という芸術家グループがモダンアートという認識を持って、廃棄物のアサンブラージュ作品を先駆けたのである。そうした造形芸術の大きな流れをも視野に入れてネヴェルソンのことを考えていけば、その彫刻美術への鑑賞もより深まるであろう。
左:舟箪笥金庫 欅 鋲打金具 天保13年以前(19世紀前半)ジャポニスム・ミュージアム展示品 右:ネヴェルソン「City Sunscape」木材を塗装 1979年
そこで、現代的美術ないしモダニズムが、日本の伝統的な意匠感性とどのように共通するかは、ネヴェルソンのある作例を取り上げて考察していきたい。左上のネヴェルソン作品、「City Sunscape(シティー・サンスケープ)」(木材を塗装 1979年)と、その右にある「舟箪笥金庫」(欅 鋲打金具 天保13年以前19世紀前半 ジャポニスム・ミュージアム展示品)を比較してみよう。
舟箪笥とは、日本の海上用の金庫箱のことで、元々は、北前船の往来が盛んであった江戸時代に、船内で重要な書類・貴重品・金銭を保管するために使用されていた。福井県三国市、山形県酒田市、新潟県佐渡市小木の三港で製作されたものが特に優れたといわれる。(city.sado.nigata.jp)この展示品の由来は定かではないが、典型的な形をした物といえよう。
その特徴は一言で言えば金具にある。実用品としてその金具は機能的で頑丈にする必要はあったが、デザインとして巧みに活かされ、必要以上に凝って誇張した鋲や鍵金具によって、立体的で独特な味わいを持たせている。その粋な装飾は古き時代の船主の繁栄の象徴であり、工芸品以上に今では芸術的鑑賞の対象ともなるのである。こうした個性的な物の面影は、現代的芸術、例えば村山知義の「コンストルクチオン」(1925年)などの作品にも見受けられる。そこからネヴェルソンへと伝わったのだろうか、もしくは、アメリカの蒐集家のもつ日本の工芸品の一つを見たのだろうか。それは推測のままとしてしか残らないであろう。
しかし、船箪笥と左のネヴェルソンの「City Sunscape(都会の太陽景)」(木材を塗装 1979年)を見比べれば、確かに似通うように見えてくるではないか。両者ともに全面が黒く凹凸を強調する全体としての印象だけのことではない。部分的にも、類似する点が多い。ネヴェルソンの作品にある中心部の円形は、船箪笥の円形部分を思わせ、その周りに密集する物体は、一面を埋め尽くす鋲やその他の鍵金具などと類似する。また、彼女の作品には船箪笥の扉だけでなく、舟箪笥の全体を彷彿させる作品も幾つかある。はたしてネヴェルソンは能楽衣装とともに、江戸時代の工芸品の高い芸術性に霊感を得たのだろうか。少なくとも、彼女の様々な作品に表われる彫刻的感性は日本の建築・工芸・ときには機や農業用機器の伝統的形体文化と通ずる点が非常に多く、そうした形体的共通性は、両者への関心を深める機会となるであろう。
Above: Louise Nevelson artwork, various
Below: Japanese traditional arts and artifacts, various
参考文献
Frampton, Kenneth. Studies in Tectonic Culture: The Poetics of Construction in Nineteenth and Twentieth Century Architecture. Edited by John Cava. Cambridge, MA: MIT Press, 1995.
Rapaport, Brooke Kamin (2007) The Sculpture of Louise Nevelson: Constructing a Legend. Jewish Museum of New York.
Seaman, Donna (2008) ‘The Empress of in-between: A Portrait of Louise Nevelson’. TriQuarterly 9 (31):280.
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General Bibliography on the Plastic Arts
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Guimet, Emile. Promenades Japonaises. Dessins d'apres nature (dont six aquarelles reproduites en couleur) par Felix Regamy. Paris: G. Charpentier, 1878.
Suzuki Junji. Japonisme in Horticulture: In the Footsteps of the Meiji Gardener Hata Wasuke. Tokyo: Heibonsha, 2023.
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